C18 Fe7 N18

仕草に愛 きみは美しい 見た目以上にその全てが

Black of nightについて語る会

関ジャニ∞にBlack of nightという楽曲があるのを、オタクの皆さんはご存知だと思います。

シングル「NOROSHI 」へ収録され、作詞作曲・振り付けやMV等のプロデュースまでメンバーの安田章大さんが担当した楽曲です。

この曲が好きだというオタクは星の数ほどいると思いますが、私も例に漏れずこの曲が狂おしいほど好きです。
そんな私が、この曲をCDに収録された音源ベースで、オケとボーカルの素晴らしさについてめちゃくちゃキモく語りたいと思います。ほんとに秒単位で語っているので嘘みたいに文字数が多いです。究極に暇な時に、もし良かったらお手持ちの音源を聴きながら読んでみてください。
左右の音の振りについてかなり言及してるので、聞く時はイヤホンやヘッドホンでどうぞ。

【ボーカル】


まず、NOROSH通常盤2曲目に収録された「Black of night」より、関ジャニの皆さんのボーカルについて話していこうと思います。基本的にメロディとMIXを中心に言及してます。


まず、タイトなイントロが終わり、音数がぐっと少なくなってから歌に入ります。ド頭丸山さんのソロパート。

追いかけても叫んでも振り向かない
カラダに巻きつく罪のトゲ

女子だと出すのが若干難しいくらい低音から始まるメロディ。音の高低差があまりないメロディは温度と彩度が低く、マットな質感に感じます。ピッチパーフェクトな丸山さんの音程をずらさない歌声が、少ない音数と強いキック音の中引き立ちます。

もう何も感じない
さめない夢の中で笑う君はまるで悪魔だ

メロディーが動き出し、高低するようになります。
「さめな」「い」の5度近く跳躍する場面でも綺麗で凸凹しない。丸山さんは本当に跳躍を外しません。まるで上手いホルン吹きのリップスラーです。
その後、滑らかで張りのある歌声が綺麗に消えていきます。最後の「だ」を発音したあとに母音の「a」の音と一緒に抜けていく息がセクシー。

喉が乾く誘う花の中へ迷い込む
ずっと繰り返す mistakes

横山さん・村上さん・大倉くんパート。
「迷い込む」は大倉くんの下ハモ、「mistakes」も大倉さんの上ハモ(多分)。職人ですね。
R寄りの近い場所で鳴る村上さんのよく通る声と、遠めで鳴っている包容力のある豊かな大倉さんの声に、Lに振られた横山さんの特徴的な声質が芯になって混ざります。「ずっと」の村上さんの声、いつもと違うローで吐息混じりな発音がドキドキしますね。
歌い出しの丸山さんの声に滑らかな張りがあったので、もう一度音が低くなるこのパートはあらためてドライな落ち着きをみせます。

一体ここはどこなんだろう?

声の位置が変わります。亮ちゃんと大倉くんが同じ譜面の上ハモ。亮ちゃんがL寄り近め、大倉くんがR寄り遠めです。かなり手前に村上さんの独特の歌声が聞こえます。上ハモの音が段階的にメロディから高い方に離れていくことで上昇感が出て、「一体ここは」と「どこなんだろう」で切実さが増している感じがします。

どこまで来たんだろう

ここ正直パート曖昧ですが、ど真ん中でズシンと響くオクターブ下に、左側近くで吐息まじりで歌っている亮ちゃん、右側遠くに地声高めに張って歌っている大倉くん。この2人の対比が美しく、この一言の深みを増しています。大倉くんが「だろう」を発声した後にピッチを下げている感じも次のフレーズの落ち着きへ一役買っていて好きです。

ただひとり

切実さ増すAメロ後半からまた一度落ち着くメロディーに。安くんと亮ちゃん2人とも余裕な音域なので、明るく鳴る安くんと安くんより暗めに鳴る亮ちゃんが合わさって独特の色気。湿度を持った声が耳元近くで鳴ります。

立ち止まると

渋谷さん。独特の鼻にかかった明るい声質が、二人の間を真っ直ぐ飛んできます。

彼方へ

ここもヤンマー。「彼方え〜へ↑え↓〜」の音が上がるタイミングで、ふたりとも同じように息を入れて(「へ」の発音で)歌い直します。ディレクションあったのかな。

消えてしまう

渋谷さん。「ま」の力の入れ具合が流石としか言いようがなくて……サビへの盛り上がりが演出されています。

Black of night
謎に包まれた この物語
だれが解くことが出来るのだろう

全員、大倉くんのみ下ハモ。
関ジャニの歌声の強さは、ユニゾンした時に「綺麗に混ざるのに個性が死なない、ちゃんと粒立って聞こえる」ことだとしみじみ思います。
お互いの声が邪魔せず、かつそれぞれ音質が違うので、全員で歌った時の音の広さがすごい。
「謎に包まれた」の直後など、右側で大きくブレスの音が聞こえる(おそらく安くん)のも曲にあっていてグッときます。大倉くんの厚い下ハモが支えます。

腕の中でもがく姿は 今にもこぼれ落ちそうで
Black of night

「腕の中でもがく姿は」のみ大倉くん休み。ユニゾンの内訳がより鮮明に聞こえますね。横山さん(L寄り)の声質と安くん(R寄り)のスピード感があるアタックが特徴的に聞こえます。
「今にも〜」から大倉くんが復活しますが、この数秒だけで下ハモがあることの安定感に気付かされますね。大倉くんのいない一瞬で不安感を出すことを狙ったアレンジなのかな。
「こぼれ落ちそうで」の最高音「おち」の部分だけ裏声で、そのあと「そうで」で地声に戻るのがすきで………切実さが伝わってきて……

いつからか元の世界見失った 僕たちは

サビ前半の登ったり降りたりするメロディと打って変わり、限られた音を上下するメロディ。後半は地声と裏声を行ったり来たりして頻繁に切り替えます。裏声の部分で息が抜ける隙に色気が纏います。

永遠に出られない 暗闇のラビリンス

大倉くん下ハモ。Rにもう1人いるかも。「ラビリンス」と歌った後、一斉に切れるんじゃなくて各々音が抜けて行くところが好きです。ラビリンスの「ス」の発音のタイミングの解釈が各々で違うのも好き。

溺れていく 海深く 引きもどせない
ココロを蝕む君の影

2番です。
すばるくんにしては低めの音ですが、ブレる気配がありません。「蝕む」直後のブレスがセクシー。

もう何もいらない
止まない雨の中で泣いてる君はまるで少女だ

「止まな」「い」の跳躍、低音に全く無理がない。跳躍の時は上ではなく下の音を丁寧に扱うのが音楽の基本です。
この曲に限らず、大倉くんが母音の「o」を発音する際「wo」に近くなる(「少女」部分)のがとても好きです。
この時の後ろの安くんのコーラスは本当に絶品で、楽器か声か聞き分けつかないような美しい天使のハミング。「まるで少女だ」の後ろで他の楽器がブレイクしている中「hu〜〜a」で吐息とともに音を切る安田さんの色気……………………

とりつかれてけがれた花の中で壊れてく
ずっと止まらない mistakes

亮ちゃん主旋律、安くんハモリ。この曲の亮ちゃんは息混じりの無理のない声で、あっさりした(とはいえダダ漏れな)色気。安くんの低音は優しく響きます。
「壊れてく」部分が1番のメロディーとリズムが変わります。1番の「誘い込む」では「こ(込)」の音が表拍でしたが、2番では「れ」の後1度音が跳ねて「て」の音が裏拍になることで、そこがフックになりメロディが念押しされた感じになります。

一体ここはどこなんだろう?
どこまで続くんだろう?
行き着く先は何もないのか

この曲の中でも1番と言っていいぐらい好きな所です。
だんだん上昇するメロディに対して1行ごとにパートが変わるのが切実さを際立たせます。
すばるくん・村上さん→横山さん・大倉くん→ヤンマー・丸山さんの流れです。この一連で満遍なく全員歌ってるんですね。
1行目・2行目は前半がユニゾン・後半で上下に分かれる形のメロディで、「行き着く先は〜」でヤンマーが主旋律、丸山さんがオクターブ下になります。すごく近くに鳴る丸山さんの低音は質感がざらついていて、上で鳴るヤンマーの子音が強めの歌声と艶消しに馴染みます。

ただひとり
ヤンマー。ブレスが多めのエアリーな歌声。

立ち止まると
大倉くん。地声気味の艶やかな低音。

あなたに
ここもヤンマー。温度感が少しづつ高めになります。

溶けてしまう
「ま」の音でこぶしが効きます。かっこいい。
この一連のやまびこはヤンマーのブレスが多めの声と大倉くんの張り気味の声でマットとツヤの対比が美しいです。

サビは歌詞違いますが譜面ほぼ同じなのでさすがに省きます。

間奏後落ちサビ
Black of night
謎に包まれた この物語
だれが解くことが出来るのだろう

安くん・横山さんのメロディに亮ちゃんの下ハモ。
この安くんと横山さんの音質の相性がこの曲のひとつの鍵になっている気がします。実直ながら滑らかで陰りのない横山さんの歌声に、メロディに対して反射神経のいい安くんのボーカルアプローチが上手く絡んで高潔な印象です。
近い位置で鳴る亮ちゃんの下ハモの質感がアクセントになって素敵。このパート聞くといつもベイクドチーズケーキを思い出します。滑らかで繊細な生地にタルト地もしっかり美味しいシンプルなチーズケーキ。甘いけど一筋縄ではいかない味。私気持ち悪くないですか?大丈夫ですか?

腕の中でもがく姿は 今にもこぼれ落ちそうで
Black of night

すばるくん・村上さん・丸山さん。この3人の組み合わせは明るく響いて、さらにメロディも大きく動くので躍動感があります。"今にも〜"から入る大倉くんの下ハモがドラマチックさを助長します。

いつからか元の世界見失った 僕たちは

ここからユニゾン。この跳躍するメロディ、本当に好きです。安くんらしさってこういうことだと思う。

永遠に出られない 暗闇のラビリンス

下ハモが加わって最後のメロディです。真ん中で鳴る主旋律に、かなり近い位置に左右に振られて鳴る下ハモがこの曲の世界観をかなり効果的に表現してるなと思います。

【オケ】


つぎに、NOROSHI通常盤6曲目に収録されている「Black of night オリジナルカラオケ」の良さを語っていきます。これはほんと普通にキモいと思います。主に曲全体、パートごとのアレンジやMIXについて言及しています。

この曲は全編打ち込みで出来ているようで(正直ストリングスは分かりませんが)、ベースとアコギは特に加工された独特な音が鳴っています。

まず初めの2秒。2秒でわかる、完全にかっこいいやつです。ここがこの曲でまず印象に残る部分になってますね。
逆再生音の後にストリングスの下降、それらが1秒でなったあとすぐ無音になり、左右に振られた2つの呼吸音。スゥ(R)、ハァ(L)。この呼吸音は曲中多用されて大きな鍵となってます。荒々しい呼吸音が耳元近くで鳴るようにmixされてることで、この2秒だけで何かに追われているかのような緊迫感を覚えます。

その後、冒頭で鳴った逆再生音を戻るように早送りのような音が一瞬なり、強い8分アクセントのキック音と共にピアノのメロディ、後ろでは4分のストリングスが鳴り出して、BPMが安定し曲として走り出します。
はじめの3小節はアコギとキックが決めのリズムを鳴らし、その後キックが8分で刻み、アコギとベースが決めをしています。
だんだん「読む音楽」みたいになってきたので色々端折りつつ語りますね。
この後歌い出しまではこのパターンが続きます。よく聞こえてくるのはキックとピアノですが、後ろで聞こえる4分のストリングスが1小節ごとに表拍裏拍と切り替わるのがリズムに変化を生んで楽しいです。

この間も呼吸音は多用されています。左右でスーハー言ってますね。なんだか落ち着けない雰囲気です。
そしてイントロの終わりは16分の決めとパリーンというガラスの割れる音。この音も呼吸音とともにこの曲の象徴になってますね。荒い呼吸とガラスの割れる音、気持ちが不安定になります。

さてAメロ。音数がぐっと減り、8分の弦と1音ずつ増えていく決めのキック・シンバル、遠くの方で鳴るシンセ?のみで、音が低く高低しないメロディから始まる丸山さんパートを引き立たせて聞かせます。後半からはエイトビート。丸山さんパート終わり(00:32あたり)で呼吸音の後に右耳に息を強く吹きかけられたような音が鳴り、これも違和感を醸して気にさせます。

「喉が渇く〜」からは弦が白玉で静かに動き、ピアノが鳴り出します。低くから高く、舞うようなピアノは掴みどころがありません。このフレーズの最後(どこまで来たんだろう)でも強く吹きかける息の音。「一体ここは」からメロディがだんだんと高くなってきているのも相まって、なんだかゾクゾクします。ベースもかなり加工された電子音っぽいベースになり、 よく耳を澄ますとずっと遠くで電子音が聞こえています。

「ただ1人〜」からはベースが細かく動き出し、左では細かく動き、右は白玉だけのアコギが寄せては返す波のようです。弦の音が豊かになり、サビに向けだんだんと細かく動き出しています。音の密度が高く、一度高くなったメロディーからまた落ち着いてどこか凪いでいる雰囲気。弦の音がだんだん短くなり、またじりじりと焦燥感。

そこから一気にストリングスが駆け上がり、ガラスの割れる音とともにサビに入ります。

サビは交互にメロディーをなぞるピアノとストリングスが踊り、ベースも細かく動きます。
再びのガラスの音をきっかけにメロディが1段落ち着き、最後は縦横無尽に下降する鍵盤と一瞬の無音、すぐ強い呼吸音にストリングスの下降で1幕が終わります。


2幕の幕開けはサビと打って変わって、ストリングスが下降した勢いのまま水に飛び込んだかのように、水面下に潜むような静かさで始まります。低い弦の音といっそう荒くなる呼吸の音の間に、水流の音が新しく聞こえて来ます。だんだんと迫り来る音がとつぜん途切れ、突然の雨、無音。耽美すぎて卒倒しそうです。

こんな一瞬の不安定な美を垣間見たのに、アコギのカッティングがかき消しすぐにBメロに戻ります。2拍3連で短く動く弦と、後半から入る子鳥のさえずりみたいなピアノが1番のBメロよりも音像を立体的にさせます。

そのまま曲が流れていき、同じようにサビに入るかと思えば、また突然の無音。心臓の鼓動の音が聞こえます。これもかなりドキッとしますね。不安感を煽ります。

そんな気持ちと裏腹に、ハイハットを皮切りにストリングスが勢いよく上昇、ガラスが割れサビに入ります。

サビは1番とほとんど同じ形です。

その後サビの歌唱が終わり間奏。
ピアノが縦横無尽に踊りだし、これまでタイトに4分音符を刻んでいたキックとベースが突然2拍3連になり、曲のタイム感を強く揺らします。間を埋める楽器が消え、合間合間にどこからか呼吸音とガラスの割れる音が漏れ聞こえてきます。 だんだんとリズムがタイトに戻り音数も増え、突然耳元で子供がピアノを叩き弾いたような不協和音、ガラスの割れる音、強いベース音、強い不安感。
ベースとキックのビートが安定し、ピアノに代わりストリングスが縦横無尽に動き、下降した後駆け上がります。

上り詰めた、と思いきやくすんで色を無くすビート、それまでのストリングスの上昇に息切れしたかのような荒い心音が耳の近くで鳴り、酷く寂しげなピアノの高音。

ピアノの低音の鍵(けん)を打ち付け、ガラスが割れる音が鳴ります。ベースとキックが無くなって地面を失い、ひらひらとストリングスが落ちていきます。 だんだんとキックの感覚が狭まり、またガラス音。地面に叩きつけられたようなイメージですかね。
そのあとのサビは寂しげに、最後の最後にブレイク、歌唱が終わります。

その後ピアノの音をきっかけになにもなかったかのようにアウトロが進み、最後のストリングスが音を伸ばした後、破片が跳ね散るように鳴るピアノの高い鍵2つに、鼓動・水音・大きく霞んだ呼吸音で曲が終わります。


この曲は常にキックの音がタイトに刻まれてることにより、少しのリズムパターンの変化や無音になる時間がとても目立ち、強いメリハリを生みます。そのメリハリに感情を揺さぶられますよね。
はじめは音数が少なく、何かしらのパートが4分、8分……などと音の間隔がだんだん狭くなり、上り詰めたところで呼吸音やガラスの音でハッとして、またゆっくりに……のこの繰り返しが、常に何かに迫られているような緊迫感を醸し出しているんだと思います。
また、左右に振られたアコギや、交代でメロディーをなぞるピアノ・ストリングスなど、細かいパッセージでも「寄せては返す」ような形が入れられているのも、緊張のなかにも感情の揺らぎを感じる要因になっています。
そして、なんといっても効果音。呼吸音・水音・ガラスの割れる音・鼓動の音など、楽音ではない音たちが打ち込みの無感情な楽器達の中で異質に鳴り、耳をそちらに向けざるを得ない、注目せざるを得ない大きなキャラクターになっています。
曲全体、フレーズ単位、小節単位で繰り返される緩急と、そのあいだあいだで気を引く効果音の「引き」や「存在感」によってなんとも言えない不安感、焦燥感の混じった耽美的な美しさが醸し出されているんだと思います。

【最後に】


なにこの曲めちゃくちゃかっこいい。こんな美しい曲誰が書いたの……えっ、関ジャニ∞っていうアイドルグループの安田章大さんなんですか!?!?!?エーーーーッッ!?